第9弾 東郷平八郎発刊!
東郷平八郎(文:千葉ひろ子 絵:上原寿美子)1,000円(税込み)
日露戦争で、「ロシアのバルチック艦隊に日本が勝った」というニュースが伝わったとき、「万にひとつも日本が勝つことはない」と思っていた各国の人々は最初「デマだ」と思いました。あの小さな国日本が巨大ロシアに勝った、それも圧倒的な勝利をおさめた……本当だとわかるとそれは大きな驚きに変わり、東郷司令官は「東洋のネルソン」と称えられたのです。
勝利のしらせに、日本の人々は、みな涙を流し手を取り合って喜びました。「勝てる」と思って始めたいくさではありませんでした。植民地にならないために、立ち向かっていくしかないいくさだったのです。
日本の人々は、じつにきめこまやかに温かく捕虜を勇者としてもてなし、東郷大将は敵将を見舞い敬意を伝えました。そこには高貴な国、日本の姿がありました。世界中が「武士道の国、礼節の国」と日本を尊敬し称えたのです。
日本の勝利は、トルコ、フィンランド、ポーランド、ハンガリーなど、ロシアに苦しめられていた国の人々を喜ばせました。
フィンランドは、百年間もロシアに国土を奪われていて、ロシア語を話すように強要され、憲法も停止状態でした。
「日本はやってくれた。自分たちにもできる」
フィンランドの人々は日本の勝利に希望を得て立ち上がり独立を勝ち取ります。
トルコでも、東郷平八郎は国民的英雄になりました。「トーゴー」という名前をこどもにつけることがはやり、街には、「トーゴー通り」というストリートができました。日本の勝利は、有色人種の国の人々に、希望と勇気をあたえたのです。四百年にわたる西洋支配を止め、虐げられていた国の人々を覚醒に導いたのが日露戦争でした。
東郷の願いは、高貴なる国日本の独立と平和でした。祈りと鍛錬を忘れるな、勝って兜の緒を締めよ、と説きつづけました。